障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会

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季刊グループホーム 2025冬vol.87

一人ひとりの思いを実現するために

特集にあたって

グループホームは、障害のある人が「自分らしく暮らす」ための居場所として、地域生活の歩みを重ねてきました。そこには、援助者による新たな実践の創出や日々の努力に加えて、グループホームに関わる一人ひとりの、地域であたりまえの暮らしを実現したいと願う思いが込められています。

しかし、その「思い」を形にすることは、決して容易なことではありません。高齢化の進行や地域社会の変化、制度のはざまによって生じる課題など、障害のある人を取り巻く暮らしの中には、いまだ多くの障壁が存在しています。私たちは、入居者の意思の実現に向けて、入居者の声に真摯に耳を傾け、共に考え、どうすればその思いを支えられるのかを問いつづける姿勢を、持ち続けなければなりません。その過程においては、援助者自身が迷い、立ち止まりながらも、対話を通して新たな支援の形を創出していくことが必要です。

今回の特集では、長期入院からの地域移行や、意思決定への伴走、65歳を迎える方々への生活支援など、多様な実践が語られています。これらの実践に共通しているのは、入居者がその人らしくあるために、どのようにして人生そのものを支えるかという視点です。グループホームにおける日常生活支援は、集団管理的なものであってはなりません。地域社会の中で営まれる人生の系譜は、入居者と援助者との日々の関係の中で、少しずつ育まれていくものだと感じます。

一人ひとりの思いを実現するために、私たちは何を大切にし、どのようなまなざしで日々の支援に携わっていくのか。現場で悩み、迷いながらも歩み続ける援助者たちの姿に、これからのグループホームの希望を見いだせるのではないでしょうか。入居者の人生に寄り添う支援の積み重ねが、地域社会全体の豊かさを育む礎となることを、心から願っています。

本特集が、日々のグループホームでの実践を振り返り、入居者一人ひとりの思いを実現するために何ができるのかを見つめ直すきっかけとなれば幸いです。

 

望月隆之(障害のある人と援助者でつくる日本グループホーム学会)

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